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![]() そして、水族館エクスペリエンスについてしばし考える。理想の水族館ってどんなだろう、と。フィジカルなデザインの前に、どんなエクスペリエンスを生み出したいのか、そこがキーとなる。 足を踏み入れたとたん、ちょっと怖くて不安になるぐらいの異次元の世界に、ワっと包まれる、そんな空間。子供だったら、怖がっちゃうぐらい。でも、強烈な記憶として残るような、ちょっと怖いけど、すごくドキドキ、ワクワクする感じ。海の中って、それぐらいの不可解なエネルギーがあるところだろうから。 「いろいろな海の生き物を展示する」といった資料性の高い場所ではなく、海の中を体験する --必ずしも、「本物」とは限らず、演出された「体験」として。日常では体験できない、ちょっとバランス感覚を失うような、そして、病み付きになるエクスタシーを感じるような空間。 テーマは、クラゲ。外見は巨大なクラゲ。夜にはぼんやり光りを発する。 中は、クラゲの体内の宇宙。有機的にゆったりと曲がりくねる通路。床も、壁も、すべてが緩やかに湾曲している。そして、壁も床も天井も、透明の世界。深く巨大な、水に包まれる。あたりは薄暗い。足下をぼんやり照らす照明は呼吸するかのようにゆったり色が変化する。頭上からは、キラキラと注ぎ込む光の柱。 すっぽり囲まれた海の中を、ひたすら魚たちが気持ち良さそうに泳ぎ回る。群れをなす小魚の柱。時には、そこにサメが突進してくる。ひらひらと舞う、エイ。色とりどりの熱帯魚。 静寂と、ときどき流れてくるささやくような音、サメの横切る音。あるいは、不思議な楽器のミニマルな音色。(Steve Reichに3時間ぐらいヒタヒタと回転しながら展開するスパイラル・ミュージックを依頼する。魚の動きに反応するリズムなんてのもいい。) 深い海、浅い海、熱帯の海、極寒の海。道筋ごとに、テーマが分かれる。中央には巨大な広場。水面の天井から強く美しい太陽の光が差し込む。ぼんやりずっと寝そべって過ごしてもよし。 *** ...こんなのがいいなあ。 パリにあるアラブ研究所やQuai Branly博物館、今年みた馬のサーカス、Zingaroなど、ぶれないエクスペリエンス・デザインのコンセプトを持って空間を生み出す能力、やはりフランスはすごいなあとつくづく思った。 日本でもこういったデザインをできる人間はちゃんといるはずなのに、とかく「一般向け」と設定すると、いろいろな提供側の都合や、「一般大衆にはこの程度がいいだろう」という勝手なおしつけで、コアなコンセプトのない、巨額の資金をつぎ込んだ、安全で清潔で、刺激と感動に欠け、ペラっと蛍光灯のフラットな光の、いらないノイズに満ち、ダサい制服姿の係員が高い声で動き回る、水に薄めたような空間がボコボコできてしまうのだろう。(--もったいないなあ、と思ったまでです..) 夢にでてきてくれないかな、my jelly-fish aquarium.
by rflux
| 2009-04-21 23:06
| 観る (art & stage)
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