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Greenawayは、"The Cook, the Thief, His Wife & Her Lover" (1989)あたりが広く知られているイギリスの監督だ。実験的で刺激的な映像美を生み出してきた。 彼のピークである80年代〜90年代初頭の作品は、音楽担当の作曲家マイケル・ナイマンのピークでもあった。ナイマンのピリピリつんざくオーケストラに、極彩色でアバンギャルドな映像がビタっとはまって、一時代を築いた感がある。だから、特に大好きな監督ではないけれど、"あの"グリーナウェイってどんな人だろうと興味津々。 映画の始めに出てきた監督は、白髪、長身の紳士。胸を張り、はきはきと、ユーモアを交えて作品の幕開け紹介。隣に座っていた人が、「あら、ナイス・ジェントルマンじゃない。」とヒソヒソ。 2時間15分の映画のあと、また監督が登場。1つ質問を受けて、話し始めたら止まらなかった。マイクを握って、ガンガンしゃべりまくること。 ...「たいていの芸術の流れは、三世代で生まれ、栄え、消えます。(2-3の絵画の流れをあげてから)ヨーロッパの映画は、アイゼンシュタインで始まり、フェリーニで完成され、ゴダールがひっくりかえし、今は死にました。映画は死んだのですよ、皆さん、こんなところで映画をみるなんて、ただのノスタルジックな行為にすぎません。」 ...「いまやDVDであり、携帯電話であり、YouTubeであり、セカンドライフです。フォーマットはどんどん変わって行きます。それにしても、セカンドライフは最高です!次の映画は、セカンドライフで計画中ですよ。DVDだって、観客が自由勝手に一時停止して、スキップして、ガンガン勝手に編集すればいいのです。マルチメディア&インターアクティヴなエンターテイメント、素晴らしいことです。」 1時間ほどしゃべりまくって、こちらもぐったりしてきたころ、「以上ですか。喧嘩したいんだけど、皆さんおとなしいですね。」 と挑発するので、観客がまた質問し始めてしまった。ある質問に対しては、「ああ、退屈な質問ですね、答える気がしません。」 場内にいた女性が、「失礼じゃない!ちゃんと答えなさいよ!」とけんか腰に。 延々続くしゃべりに、席を立つ人が相次ぐ。セカンドライフは飽きてしまう、との意見に、「それはあなたの問題ですよ。」と言い放ち、言われた初老の紳士は、「ああそうですか、じゃあ、もう帰ります。」と立ち上がったところで、お開きとなった。 「はい、いろいろご意見ありがとう、また明日レクチャーがあるので、引き続き語りましょう!」と最後まで戦闘モードなグリーナウェイ氏。やはりただもんではなかった。 1つ印象的だったのは: 「映画はストーリーではありません。映画を観た後、心に刻まれるのは、話の筋ではなく、光、雰囲気、音、感情といった感覚的なものです。」 という言葉。 私は映画も本も、プロットを全然覚えてなくて、アブストラクトな感覚がぼんやり残るだけ。人に全然筋道立てて話を伝えられず、能力の欠陥だと思ってたので、ちょっとホっとしたのだった。 そして、映画とは本来そういった感覚的な創作物であるのに、配給会社にお金を出してもらうには、まず文字で書かれた「売れそうなプロット」が必要になる。そういったサイクルがつまらない映画を生み出しているとのこと。まあ、それはそうだろな。 ちなみに、映画は。残念ながらこの小さな街の映画館は、音も映像も設備がいまいち。いずれにせよ、大好きな作品ではないけれど、レンブラントの時代の絵描きという"ビジネス"が良く描かれていておもしろかった。 写真) 劇場の天井。
by rflux
| 2008-09-21 21:39
| 観る (films & tv)
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