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先日観たジャン・コクトーの「オルフェ」('50)で、詩人オルフェが、死の女神の車のラジオから流れた世にも素晴らしい詩をなんとか再度聴こうと、必死に車のなかでラジオに耳を傾けるシーンがある。詩はなかなか放送されず、聞こえてくるのは耳障りなノイズと、淡々と読み上げられる意味不明の数字たち。
スパイ・ナンバーだ!! 2年程前、アメリカのラジオで、この謎の数字ラジオ放送についてのレポートを聞いた。インディ・レコード会社の経営者が、ロンドンで真夜中、短波放送ラジオのチューナーを動かしていると、女性の声でひたすら数字が繰り返される奇妙な放送に行き当たった。 彼はこの放送に取り憑かれ、あらゆる局を探り当て、録音しはじめた。'97年には自分のレーベルから4枚のCDセットをリリース。カルト・ヒットとなった。こんな感じである↓ ♪ Sample 1: (数字 / 英語 / 女性) ♪ Sample 2: (オルゴールの音、数字 / ドイツ語? / 女性) ♪ Sample 3: (モールス信号、文字 / 女性) 確かにこんな気味の悪い音に真夜中遭遇してしまったら、取り憑かれてしまうかもしれない。これは、各国の政府が自国のスパイに向けた暗号メッセージだ、という理解らしい。どこの政府もこれを公式に認めないが、実際ラジオを聞きながら数字を書き取っていたところを捕まったスパイもいるそうだし、イギリスの経済産業省は'98年に「数字放送の正体はご想像の通りだ。公に明かされるべきものではない。」とのコメントを発表したとのこと。 映画のシーンもこれを意識しているのかな、ただの偶然? そしたら、Wikipediaの"Numbers Station"エントリーには、ちゃんとこの映画のシーンも紹介されていた。さすが。 映画のなかでは、この放送は、オルフェに向けた死の世界からのメッセージという設定だ。コクトーは、眠れない夜にラジオから流れ出した奇妙な放送を聞いて、そこに詩的な響きと、死の世界との繋がりを感じたのだろう。 参照: > CDの発売元:The Conet Project > ラジオレポート:Music by the 'Numbers Stations' (NPR, All Things Considered, Nov. '04) > Wikipedia:Numbers Station
by rflux
| 2007-03-23 16:01
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