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チェコのシュールレアリスト&アニメーション映像作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの最新長編映画、「ルナシー」。(Lunacy / Sílení、Jan Svankmajer、チェコ、2005)
お話は、監督本人の登場で幕を明ける。 「これはホラー映画です。この作品に芸術的価値を求めるのは無意味な事です。」 と、語る監督の足元にゴソゴソ音。 見ると、←写真上にある「舌」がズルズルと芋虫のように床を這ってゆく。 「本物の自由」とは何かをめぐり、精神病院の狂人たちを中心に話が展開する。が、もちろん、この狂った状況は、「檻の中」でなく、「こちら側」のメタファーである。コミュニズム体制下の弾圧によって培われた、思想・空想・幻想・妄想の自由への強い固執、そして、「体制」への辛辣な批判(共産主義でも資本主義でも)は、彼の作品に貫かれるテーマだ。 基本、実写だが、舌だの肉片だの目玉が生々しい音とともに這いずり回るいつものアニメーションも、メタファーとして効果的に取り入れられていた。 とはいえ、初期の短編〜長編「アリス」、「ファウスト」あたりまでの強烈さには匹敵しないと感じてしまうのは、こちらの感性の鈍りなのかしら。 監督は映画の公開に合わせて来日。先週、用事のあと急いで舞台挨拶に駆けつけたが、すでに売切れだった。生きている監督で最も敬愛する一人なので...握手ぐらいしたかったな! そのかわりか、家族の者から、シュヴァンクマイエル画の「不思議の国のアリス」をいただいた。(新訳なのも興味深い。)彼のドキュメンタリー映画も上映中。先日行った渋谷のチェコ・カフェでは、彼のDVD上映会があるようだし、しばらくこの素晴らしいアーティストの作品を随所で楽しめそうだ。
by rflux
| 2006-12-09 19:45
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