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Karl Ove Knausgaard著、
"My Struggle: Book 1"読了。 ある夏の夜、フィンランドの小さな町で映像作家二人と語らっていた。私はノルウェーの旅から戻ったばかりだったので、フと、「ノルウェーって私はムンクぐらいしか、文化人を知らないのだけど、なにか有名?」と訪ねた。その時、この本を知った。 2009年に第一巻がリリースされ、本国で大センセーションとなり、その後、各国で話題となったとか。6巻、3500ページからなる自伝小説。プルースト的、なんて解説に興味をもって、試してみることに。 プルーストとは違い、文は平坦で、わかりやすかった。彼の幼少〜青年〜成人の父と兄を中心とした家族を巡るエピソードが事細かに描かれる。 この淡々とした流れが独特で、「物語」(narrative)が欠落しているような、一体、"どこか"に辿り着くのか、あるいは、これが"それ"なのか、掴みどころがない。彼は何を伝えたいのか、この本なんだろ??なんて思いながら、文を追う。(これが、多分、プルーストに比較されるところなんだろう。) なのだけど、その平坦な日常の克明な記憶の世界に一緒に浸っていると、家族に感じる怒り、愛情、憎しみの細やかな感情や、日常の小さな恐怖、悲しみ、"モヤモヤ感"などが、ジワジワと染み入ってくる。 後半、父親の死によって、幼い時に良く通った祖母の家に戻り、兄と、家の「再生」を試みるくだりは、淡々としているのに、湧き出る感情に満ちていて、圧巻だった。 自分の家族の私生活を事細かに書いたので、ノルウェーでは、彼は元妻や親戚からかなりバッシングにあったらしいのだが、それがこのリアルさなんだろう。 また、主人公(=著者)は、成人してスウェーデンに移住、なんとこのMalmö市にも暮らし、街が小説に登場する。(う〜ん、こんなヒト癖味ある男性がMalmöに住んでたんだ.... ) 先日訪れた、ノルウェーの町、Balestrandも登場するし、読みながら、心に、フィヨルドや真冬の光景が広がって、うっとりした。 さて、残り5冊分の「苦悩」、どうしようかな。 # # #
by rflux
| 2013-09-15 19:11
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